消費者の心理学講座

消費者視点を考察するブログ

ターゲットを一人に絞る

マーケティングを行う上で顧客ターゲットを絞りこみ戦略を練ることがあるかと思いますが、今のこの時代、十人十色といってもよく会議などではなかなか絞り込めないことなんかも多いのではないでしょうか?


これとは逆に、実際、商品やサービスを使ってくれるであろうモデルユーザーを作り出し、そのユーザーのニーズを満たすような形で商品やサービスを設計するというマーケティング手法のひとつ、ペルソナ・マーケティングというものがあります。


これは顧客ターゲットを絞り込めるだけ絞り込み、その顧客がどうしても手にしてしまうような製品やサービスを開発し、市場に投入するという形を取るのですが、なかなか大胆で簡単には真似の出来ない手法ではありますよね。


さてそんなペルソナ・マーケティングで大成功したのが、スープストックトーキョーで、1999年にお台場に1号店が出来て以来、話題となり、いまもなお多くの顧客に支持されています。

男性からすると「なんで流行ってんの?」なんて思ってしまいすが、自然を活かした食品や店作りなどをみると、女子ウケするのは間違いなしでしょうし、店舗なんかを見てみてもちょっとリッチな気分を与えてくれるのだろうなと察することができます。


さて、そんなスープストックなのですが、ペルソナマーケティング戦略において作り上げたペルソナが「秋野つゆ」さんなのだそうです。


一体この「秋野つゆ」さん、一体どのような人物像だったのかというと、以下のような感じのパーソナリティを持っていたのだそうですよ。


37歳の女性で都心で働くキャリアウーマン。
独身または共働きで経済的に余裕があり、シンプルでセンスの良いものを好み、社交的だが自分の時間も大切にしており、人生を楽しみたいと思っている。
機能性を好みつつもこだわりがある。


・・・と、ここまではわかるのですが、さらに以下のようなパーソナリティも設定されています。


フォアグラよりもレバ焼きが好きで、プールでは豪快にクロールで泳ぐ。


いやいや、なかなかの顧客ターゲットですよね。
まぁ、なんとなくドラマの女主人公的ではあるのですが、このようなペルソナから、どうすればこのようなターゲットが納得しスープを購入してくれるのかを検討していき、現在に至っているのだそうです。


しかもこれ、商品開発だけに留まらず、店舗開拓にも活かされているようで、「どこに出店し、どのような内装がいいのか」まで細部に渡って熟考されていて、さらにはマーケティング戦略にまで活かされているのだとか。


まぁ、でも考えると、1人絞って考えるのは怖いと思ったのですが、事細かくパーソナリティを突き詰めていけば、案外そのほうが開発も行いやすい上、その後のマーケティング方針にも一貫性が持てるので、あれもこれもと狙っていくよりもシンプルで簡単なのかもしれませんね。(もっとも成功しているからこそなんですけどね・・・。)

商品価値は価格で判断される

モノは安いほうがいいという一方、ブランド品などであれば、高いのが当たり前で、安くで売られていたりすると、不良品であったり、はたまた偽物なんじゃないかなんて思いますよね。


そう考えると、モノにはある程度の適正価格というものがあり、その価格がそのモノの価値を判断する基準になると言えます。


しかし、これは絶対的なモノというものでもなく、人はその場の状況や意識によって価格の感じ方が異なる場合があります。


これは「心理的財布」といって消費者は複数の財布をもっていて、商品の種類や買う時の心理状況や場面において、その財布を使い分けています。


例えば、家や車などの大きな買い物をするときは、追加で費用がかかったとしても気にならなくなるようなことがあります。


一般的に追加でお金が10万円かかると言われた場合、ほとんどの人は「高いなぁ」「いや追加はいりません」などと思うものなのですが、家や車の場合、その金額が200万円や3000万円のようにかなりの高額な金額となり、その金額と比較すると、10万円なんて「たいしたことない金額だ」なんて思ってしまうんですよね。


まぁ、この場合、金銭感覚が麻痺してしまっているというわけです。


消費者の心理って、なかなか一筋縄でいかないところが、マーケティングの面白いところ

期待不一致

話の中で「すごく美味しいから食べてみて」と勧められて、かなり期待していたにもかかわらず、実際に食べてみると「案外普通だった」なんて経験は誰にでもあると思います。


このような心理状態のことを「期待不一致」といって、アメリカの経営学者であるリチャード・オリバー氏によって、消費者の商品やサービスへの満足度がどのようにして作られていくかを示したモデルとして、期待不一致モデルというものがあります。



これは、購入前の商品に対する期待が大きくなればなるほど、商品自体の評価基準が高くなってしまい、その期待を上回ることが難しくなるというもので、事前に期待を高めてしまうと、かえってその商品が売れなくなるということがあります。


よく「面白い話があるんだけど・・・」といって話を進める人がいますけど、その人の話って、大抵どこが面白いの??なんて思うことありませんか?


実際、普通に切り出して話していれば面白い話なのに、最初から「面白い話」だと先入観をもたせるものだから、「それだけ??」なんて物足りなくなってしまうんですよね。


これは衝動買いと、よくよく調べて検討・購入した商品にも当てはまります。
買おうかどうか悩んで、色々調べた挙げ句買ったものが、実はそんなにいいものだと思えず使わなくなってしまったり、買うことさえ考えていなかったモノを衝動買いしたほうが実際には気に入って使っているという・・・。


まぁ、「期待」というのはあまり大きくしてもいけませんし、何事も「期待」していないほうが、その結果に対して喜びが倍増するなんてことのほうが多いようですよ。